ずいぶんと時間が経ってしまいましたが、8月27日に発売された建築知識ビルダーズNo.62について、F式全館冷房の考案者である「フエッピーさん」が、ブログで紹介してくれていました。
フエッピーさんとF式全館冷房について
F式全館冷房とは、エアコン1台による全館冷房(除湿)の運転方法です。
高断熱高気密住宅や、その住み方に深い知識を持ち、一般ユーザーに広めているインフルエンサー「フエッピー氏」が考案し、ブログ・SNSを通じて感度の高い一般ユーザーに普及した方式です。
採用した施主自身が計測や事例の共有などにより理解を深めたり、広げたりする事で採用者を増やしている民主的な手法と言えます。
「F式」という呼称は考案者のフエッピー氏の頭文字をとってユーザーが呼びはじめ、広がったものです。
上記の説明は、建築ビルダーズに寄稿した私の原稿です。
本誌では短く編集された内容で掲載されましたが。。
今回の建築知識ビルダーズの内容について
フエッピーさんのブログは、冒頭は建築知識ビルダーズ内、私の連載部分について、それ以降は今回の特集「夏の高断熱・高気密」についての感想についてまとめられています。
ここからは私の話。
建築知識ビルダーズ特集では学者さんや住宅実務者、何人かがそれぞれ記事を担当して書く事がほとんどですので、良くも悪くも記事ごとにそれぞれの執筆者の主観や思想が入っています。
前号のエコハウス用語解説の中でも、同じ特集全体の中でも矛盾する解説、相反する内容が並立していました。
それは悪い事ではないと思いますが、読者は誰が記事を書いたのかを見て、その裏側にある思いを汲み取りながら読むのも面白いかと。偏った思想が悪いという事ではなく、その人のクセも含めて楽しめるといいかなと。
キクチの連載ページについては
1ページ目、エアコン1台で全館暖房、全館冷房する意味について語っています。
2ページ目、鳥取県「やまのすみか」田上氏を召喚しました。

壁掛けエアコンを見せずに設置する事例、廊下に仕込んだ冷房を天井の格子の中に隠している事例を紹介して頂いています。
田上氏は持ち前のコミュニケーション能力で鳥取県の高性能住宅を牽引する存在。
鳥取県が全国に先駆けて取り組み、日本中の自治体に大きな影響を与えている「とっとり健康省エネ住宅NE-ST」という施策、
この基準や制度の策定の会議にも初期段階から参加し、事業の助走から離陸、安定飛行までに大きく寄与したと言えるでしょう。
この号で「スーパー工務店NEXT」にも取り上げられており、自宅、事務所、作業場、ヤギ小屋からなる「暮らし」の様子も紹介されています。
かなり良い家づくりをしているのにそれをひけらかす事なく、施工事例写真なども非公開のようですが、やはりそれでも持ち前のコミュニケーション能力で受注に繋がっているのでしょう。
鳥取県や岡山県北部エリアで家づくりを計画している人は、要チェックです。
今回の建築知識ビルダーズでは、「日本列島エコハウス増やそう課」という連載で、鳥取県の「とっとり健康省エネ住宅NE-ST」が紹介されています。
鳥取県民の皆様は今回、鳥取風味の強い建築知識ビルダーズを是非購入してみてください!
私が考える、冷暖房換気のあるべき姿
今回、私は特集の記事を担当していたわけではありませんが、連載の内容を特集の方に寄せて「空調」にしました。
連載の中で書いた通り、私自身は冷暖房や換気設備については、コストが安く、汎用性が高く、更新が容易であることを第一義に考えております。
連載の3、4ページ目では「床ちょっと上エアコン」、
5、6ページ目では「F式全館冷房」
こういった壁掛けエアコンをつかった汎用性が高い冷暖房にしたいと思うには理由があります。
弊社では40年ほど前に高断熱住宅に取り組むようなりました。
当時の暖房としてはFFストーブやFFボイラー熱源のパネルヒーター、
最先端のヒーテックス(江本工業)も採用しました。
ヒーテックスというのは外から取り入れた新鮮空気を、FFストーブからの暖房空気と熱交換させ、
各室にダクトで届けるという全館暖房システム。
弊社のすまい手さんでこれが現役で運用できている人はいません。
その数年後にはHOMEエアCOMⅡが発売され、こちらは暖房・冷房・換気がセットになった機械。
こちらも20年位前にサポートは終了、現在は冷房機能が修理できず、壁掛けエアコンを追加して住まわれています。
高断熱・高気密をがんばるからには、冷暖房にかかる費用は運転費用だけでなく、
最初の設置費用、更新費用ともに小さくなってほしいもの。
特殊設備で、同じメーカーでしか後継機が手に入らないというのもなかなかリスクが高い。
だから、いつでもどこでも買える汎用的な壁掛けエアコンでうまく冷暖房したい。
F式全館冷房はそういった方にピッタリの冷房方式(全館除湿方式)だと思います。
10月になり、むつ市の外気温も5℃を下回る日が出てきましたので冷房の話は季節外れに感じますが、
寒い時期に家づくりを計画しても、毎年夏はやってくるし
暑い時期に家の事を考えても、毎年冬はやってきます。
残りの人生のうち、約半分は暖房期ですが、家の性能次第ではぐっと短くできますね。
では、夏はどうか。
家の性能をあげれば外からの熱取得も減らせるのに湿度は変わらない。
エアコンが動いていれば本来除湿もされて湿度が下がるはずだが、エアコンが休んでいては下がらない。
夏に快適に過ごすには、断熱気密や日射遮蔽だけでは解決できない知識やテクニックが必要ということです。
↓フエッピーさんのブログ
↓やまのすみか公式HP